
栗駒山は。
秋田県・岩手県・宮城県の3県に跨がる栗駒山。標高は1,626m。
秋田県では大日岳(だいにちだけ)、岩手県では須川岳(すかわだけ)と呼ばれています。宮城県では昔は駒ヶ岳と呼ばれていたようですが、今では「栗駒山」の名称で親しまれ、山開きから春~秋の紅葉までとても人気の山です。
二百名山でもあり、花の百名山でもあります。
春~夏はヒナザクラ(雛桜)の群落、ニッコウキズゲ(日光黄菅)をはじめ、多様な高山植物が咲き誇ります。
栗駒山のハイライトはなんといっても「神の絨毯」「綾羅錦繍(りょうらきんしゅう)」と形容されるほどの見事な紅葉。
深田久弥も「東北では秋田駒ヶ岳と栗駒山を百名山に入れるべきであったかもしれない」と後述したそうです。惜しいね、深田久弥さん!

混雑する中央コースと東栗駒コースを避けて、「湯浜コース」で登る
10月中旬、栗駒山は人気の紅葉スポット。「神の絨毯」と賞賛される紅葉の山は登山客で混雑します。特に標高差が513mの中央コースと東栗駒コースは初級者でも登れるコースであり、特に人気があります。
私たちはマイナーな湯浜コースを登ることにしました。湯浜コースの登山口は国道398号湯浜温泉入り口にあります。登山口の標高は670m、累積標高差は1081m。この登山コース、ほとんどと言うかまったく人と会いませんでした。ソロだとさみしいかもしれません。後述しますが、熊が出そうですし。

湯浜コース登山口→三浦旅館(ランプの宿)で登山届を出す
湯浜温泉には1軒だけ温泉旅館があり、それが三浦旅館です。ここで登山届を出します。¥200でトイレも利用可です。(因みに登山バッチ販売はないそうです)
途中の滝
三浦旅館→虚空蔵山(こくぞうさん)
三浦旅館を出発して「栗駒山山頂まで8.3km」の標識を通ります。500m毎に山頂までの距離を示してくれる道標があり登山道は良く歩かれているコースです。赤いリボンもあり道迷いはないと思います。
大地森(世界谷地)コースと合流

途中、大地森(世界谷地)コースと合流します。(大地森コースの下山はここで分岐する)
湯浜コースは熊の痕跡が多かった

このコースは良く歩かれていて道迷いもなさそうです。距離は往復16.6kmと長いですが、体力のある方なら下山も含めて6時間~7時間。
このコースの最大の問題点は「熊の痕跡が多いこと」のようです。冬眠前の活発な時期、熊の排泄物を4回見ました。
熊鈴、ホイッスルは必須です。また食べ物の匂いをプンプンさせての登山は危険です。
このコースを利用するなら、歌を唄ったり、人間が通りますよ~という音を鳴らし十分注意して登って下さい。お守りに熊撃退スプレーを持ち歩くのも一つです。万が一使用するときは風向きに十分注意して自分にかからないように。
少し荒れている箇所と急登がある。泥濘も多い。
倒木で荒れている箇所もあります。大きな岩がゴロゴロした急登もあります。泥濘(ぬかるみ)もあり、スニーカーでは不可な箇所もありました。
コマユミの赤い実
2時間30分ほどで稜線に。虚空蔵山の紅葉が見えた。

2時間30分歩くと、今までの樹林帯から急に稜線に出て、突然真っ赤に染まる虚空蔵山が現れます。見事に染まっています。オレンジ色・黄色・赤・緑の鮮やかな色に染まり、本当に美しい。
ここまで来ると熊の心配もないでしょう。
虚空蔵山の紅葉を眺めながら木道を歩く→山頂へ
紅葉に染まる虚空蔵山を眺めながら木道をしばらく歩くと、「虚空蔵十字路」という分岐があり、そこを山頂に向けて登ります。稜線沿いの草紅葉と錦の紅葉に感嘆します。

虚空蔵十字路分岐から山頂まで2.2km
10月の稜線歩きはとても寒かったです。山はもう晩秋、グローブと帽子の防寒対策は必須です。
山頂まで、美しすぎる紅葉を見ながら歩きます。



天狗平→栗駒山山頂

山頂は山飯を食べる人、山頂標識で記念撮影をする人で混雑しています。山頂標識は順番待ちで撮影していました。山小屋やトイレはありません。昼食と行動食の準備はお忘れなく。


まとめ
念願だった紅葉時期の栗駒山登山、聞きしにまさる「神の絨毯」は息をのむほどの美しさでした。
私たちが選んだ「湯浜コース」は16.6kmと長いコースで、50代の私たちの足で7時間かかりました。熊の痕跡もあり初級者にはお勧めしません。山歩きに慣れていて、万が一熊に遭遇しても慌てないで対応できる方なら良いと思います。
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